ブラジル、你好、ブログ

ブラジル人の同僚が夫婦でパリへ遊びに来たので一緒に晩ごはんを食べた。パリはほぼ初めてだという二人は、朝起きても太陽がない、暗いと文句を言っていたのが新鮮で面白かった。彼らはブラジルで毎朝6時に起きてジムへ行っているらしい。私なんて最近朝10時に起きているのに。

フレンチかハンバーガーが食べたいというので、バーガーは即却下しフランスの家庭料理っぽいごはんが食べられる小さくて良い雰囲気のお店で。フランス語から英語に翻訳したいのになぜか日本語が口から出てきてしまって面白かった。たくさん話して美味しいごはんを食べてほんのり酔っ払って楽しい夜になり、一人ニコニコしながら帰る。嬉しいことがあるとすぐ顔に出てしまう。

 

犬の散歩をしていたら、酔っ払って歩道を自転車で走っている人から「你好」と叫ばれる。遠くから見ても明らかに酔っ払っていたので最初から見ないようにしていたのと、いつもの癖で完全無表情で無視していたけど、你好って言われっぱなしなのが本当に嫌、でも何か言って攻撃されたら怖い、との間で悩んだ結果、今度からは日本語で「うるせーよタコ」と言おうと決めていたことを思い出し、数秒経ってから一人で「うるせーよタコ」と呟いておいた。タコを選んだ理由は、你好って言われたときに何か日本語で言い返したい、もし翻訳してもあからさまな侮辱にならない、謎の言葉がいいなと思ったから。タコがinsultになるの面白過ぎない?次回はもっと即座に言えたらいいのですが。

 

同じ時期にTwitterを見るのをやめてブログを書き始めたLouieと、私も彼が書いていたみたいにTwitterをやめて時間がいかに増えたか、文章の書き方が変わり、友達との付き合い方さえ変わったという話をした。ブログはTwitterみたいにたくさんの人に読まれることはないし、もしかしたら誰も読まないかもしれないけど、別にそれはそれで良いというか、私はこれを誰かのためではなく、自分が書きたいから書いていて、まさかまたそんな風に文章が書けるようになるとは思わなかった。Twitterは確実に私の人生を変えたけど、Twitterを見なくなったことも確実に私の人生を変えると思う。

 

これから一ヶ月日本へ帰るんだと思うと、パリの街を見る目が変わる。私は何も変わらないのに、飛行機に乗って降りたら見える景色ががらっと変わるなんて、当たり前のことが不思議で仕方がない。灰色の暗い空でさえ愛しく思えてくるから不思議だ。