春、ブロカント、繰り返し

どうしてこんなに自分の世界が閉じているように感じるのだろうと毎朝犬の散歩をしながら考えていて、そういえば私はこんなに一つの場所にずっと住んで何度も同じ季節を迎えるのがものすごく久しぶりなんだと気が付いた。何度目でも春のパリは良いなぁと思う。いつもと同じように見えて、去年より植物の名前を知っているし、フランス語も少しは上達したし、野菜の苗作りも植物を育てるのも少し上手になった。知らない場所で何もかもを新しく始めることを恋しく思うこともあるけれど、同じ場所で同じことを繰り返して少しずつ変化していくのも悪くない。「枯らさないと上手くならない」と、盆栽屋のおじいちゃんに言われたことをよく思い出す。

 

春はブロカントの季節なので最近よく買い物している。ツイートしないことにはすっかり慣れたけど、買ったものをどこにも載せられないことだけは寂しいなと思うのでここに載せます。インスタに載せてもいいかなと思いつつ、イーロンマスクがだめでマークザッカーバーグは良いの?と毎回自分の良心が訴えかけてくるので出来ない。

 

左の狐が描かれたお皿は柴犬!!!と思って即買った(柴犬ではない)。とても気に入っていて毎度ニコニコしながら使っています。見る度に可愛くて嬉しくなるくらい好きなのでもう一枚買えばよかった。

何度目かわからない模様替えでソファの位置を変えて、ここで朝ごはんを食べたりアペロするためのローテーブルを二ヶ月くらい探していたのですが、低過ぎず高過ぎずのちょうど良い高さの渋いテーブルがブロカントで売られていたので買いました。上に乗っているのは同じ日に新品で買ったSangeanのミニラジオ。AmbientecのTurnとよく合って気に入っている。

なんとなくずっとシルバーのポットが欲しくて、ゴテゴテしてなくてシュッとしてて持ち手がダサくなくて、のイメージで去年から探していてやっと出会ったこのポット、40ユーロくらいなら即決しようとお値段を聞いてみたら10ユーロだったのでびっくりした。アメリカ製ですごく使いやすくて、水や紅茶を入れたりしている。便利なので他にも良いのないかなとブロカントで再び探す日々。

そういえば我が家って二人分にちょうど良いサイズのグラタン皿ないよねと話していたらブロカントで見つけたお皿、ちょっと欠けているけど4ユーロなので気にならない。

 

ずっと同じ場所にいて、日々を繰り返しながら好きなものが少しずつ増えて家の居心地がどんどん良くなるのは楽しい。十二月は重い腰を上げて春に向けて球根を植える。一月はガレット・デ・ロワを食べるのではなく作る。二月は野菜の苗作りを始める。三月は少しずつ大きくなった苗を外に出したり中に入れたりを繰り返す。枯れていたエスタラゴンがまた顔を出し、わさびの葉はぐんぐん大きくなって花が咲いて、チューリップが咲いて、存在を忘れていたような花があちこちで咲く。今年も春が来たなと思う。繰り返す日々への愛しさを今は大事にしたい。