課金、フランス語、植物

書いていない間に色んなことがあった。

 

4月は仕事ばかりしていた。このまま仕事をしているうちに人生が終わってしまうんじゃないかというくらい毎日ひたすら仕事をしていた。retroで「ゆか働きすぎ」が議題になってしまうくらいで、自分でもこのままだとバーンアウトする実感があり(というかたぶんちょっとしてた)、5月は罪悪感を抑えながら無理しないよう毎日控えめに働いている。

 

健康面で心配なことがあって、血液検査をしたら複数の項目で異常値があり、ますます心配になって何も手につかない状態だったけれど、良い先生に出会えて、ひとまずは大丈夫そうだとわかって今はあまり心配していない。気持ちが前向きになって久しぶりに運動する気になり、思い切ってボルダリングジムの行き放題プランを申し込んだ。怠け者の私は何をするにも課金して解決しようとする。

 

その間になんだかフランス語がすごく上手くなった気がする。自分で上手になったと言っているくらいなので全く上手くはないのだけど、胸を張って初級者ではなく中級者であると言えるレベルにはなった。なんと先日フランス語で初めて本を一冊読み通すことが出来て、これはさすがに感動してしまった。私にとって言語学習で最も嬉しいことは本を読めることなんだと思う。日本に住んでいるフランス人女性 Vanessa Montalbano が語る日本の恋愛事情についての本 "Tokyo crush"、たくさん笑いながら読んだ。本当に面白いので日本語に翻訳されてほしい。

英語のときもそうだったけど、背伸びして一冊でも読み通せると急に上手くなった実感が生まれるから不思議。外国語で本を読めるようになるコツは読める本に出会えるまで面白そうな本を買い続けることだと思っていて、ここでもまた課金技である。怠け者は図書館で借りた本を読みきれない、課金していないので。

 

さらにフランス語で短編小説まで書いてしまった。フランス語のクラスで「有名な小説の書き出しから好きなものを一つ選んで続きを自由に書く」という宿題が出て、下書きは英語で書いたから英語でも書いたことになるのかもしれない。超短編だし、もちろん拙い文章だけれど、日本語で何も書き終えられたことがないと思うと達成感がすごい。同じ感じでやれば日本語でも書き終えることができるんだろうか。

 

「パリは美しい街」って旅行者から言われるとつい否定したくなるけれど、春のパリは確かにびっくりするくらい美しくて、何度経験しても感動する。フランス語クラスの帰り、白とピンクとオレンジが混ざった空の8時半、こんな丸い光に包まれながら自転車に乗って帰るなんてどれだけ幸せ者なんだろうと思う。

 

春になるとみんな外へ出ていくけれど、私は春こそ家にいたい。元気がなかったときも、元気になってからも、ずっと庭ばかり見ていた。何もしないが苦手ですぐネットばかり見てしまう私が、ただ庭を見つめているだけで平気で2時間も3時間も過ごせるようになるとは思わなかった。今年は本当にたくさんの植物の名前を覚えて、街歩きがすごく楽しくなった。最近は街を歩いているとき犬と植物しか目に入っていない。来年のことなんて何も考えられないし、欲しいものは今すぐ欲しいし、いつも今を中心にして生きてきた私が、来年の春に花を咲かすために種まきをしているなんて不思議だ。

 

日々のあれこれ、自分の中を流れる色んな感情を、どこのソーシャルメディアにも流していない。私はどんな形でそれらを残していけるだろうか。