日本、旅行、平和

日本に帰ってきて二週間が経った。三年ぶりの日本を自分がどう感じるのか見えずに不安だったけど、あまりにも普通にすっと馴染んでびっくりした。飛行機で "Everything Everywhere All at Once" を観て、私がずっと日本に住む世界線はどんな感じなのだろうと考える。

 

彼氏がノエルを家族と過ごすためにフランスへ帰るまで、二人で全力で旅行した。毎日何を食べるかどこでコーヒーを飲むか夜はどこで飲むかばかり話していて、移動中にはこの限られた時間と胃袋の中で何を食べるべきかGoogle Mapsを見つめ続け、ねぇ普通に日本へ遊びに来る人たちは何をするんだろうね?という話をしていた。

京都では五年ぶりくらいに親戚に会った。私は別に会わなくても良かったのだが、彼氏が会いたいと言うので会うことにしたら、叔母さんからわざわざうちの母親へお礼の電話が掛かってくるくらい楽しかったらしい。私は親戚の中でかなり変わっている方だけど、別の方向で変わっていて最終的に庭師になったいとこが、我々が時々見ている Japanese Garden TV というYouTubeの番組に何回か出ているとわかったことが我々の一番のハイライトである。いつかパリに遊びに来て日本庭園を作ってくれとお願いしておいた。

いつも予約を忘れていけなかった苔寺こと西芳寺にやっと予約して行った。死後の世界がこんな場所であってくれたなら怖くないと思うほど美しく、何なら私はもう死んでいるのではという気さえしてくる別世界だった。

金沢に昔Oh Lifeというブックカフェがあり、彼氏曰く世界で一番美味しいトーストが食べられる店だというので、翌年一緒に金沢へ行くことにしたら閉店していて、オーナーは京都にあるカフェWanderersへ移ったということだった。それから京都へ行く度にそこで朝ごはんを食べていたけれど彼には中々会えず、今回やっと会うことが出来た。Oh Life本当に良いお店だったでしょ、好きな人は何回も来てくれたけどほとんどの人は全然来てくれなかった、と言っていて笑った。彼氏も短い金沢での滞在中に二回訪れるほど好きだったらしい。

七年前にたまたま通りかかって包丁を買ったお店にまた包丁を買いに行った。ここで包丁の研ぎ方を教えてもらって、彼氏はその時に買った砥石で今もせっせと包丁を研いでいる。前回来たときはすごく楽しい雰囲気だったけど、オーナーのおじいさんはすっかり年を取っていて何だか寂しい感じがして、後継の人とかいないんだろうかと思っていたら、後を継ぐ予定だった義理の息子さんが二年前に突然亡くなってしまったと知った。

京都から戻ってきてからは私の実家へ一泊して、植木屋さんへ行った。昔近所に住んでいた家族の祖父母夫婦は界隈ではわりと有名な人らしく、こんな何もない郊外のお店へみんなわざわざ行くそうだ。小さい頃に可愛がっていたゆかちゃんが盆栽に興味を持ったなんてといつも大喜びでお迎えしてくれる。盆栽が好きなのは私より圧倒的に彼氏なのだけど、ひたすらゆかちゃんゆかちゃんと色々教えてくれて何かよくわからないけど孝行をしている気分だし私も普通に勉強になって楽しい。枯らさないと上手くならないと言われて、これからも枯らし続けようと思った。

 

ここまで書いて疲れたので東京での思い出はまた今度にする。懐かしい人に会い、新しい出会いがたくさんあり、好きな場所がまたたくさん出来た。あまりに色んなことがあって胸がいっぱいで、文章に書いて整理していけたらいい。

 

日本はなんて良い場所なんだと思う。街中をウキウキ歩いていると岸田首相が出ている動画が目に入り、うげぇと思った。防衛費を増やすというニュースを見て、この国で起きている色んなことを考える。日本で暮らしている人たちが普通に平和で楽しい人生を送ってほしいと、私は本当にそう思わずにはいられない。